M&Aとは
M&Aとは直訳すると合併と買収(Mergers & Acquisitions)という意味ですが、事業譲渡や資本提携まで含めた企業間提携の総称として用いられています。
M&Aの手法(スキーム)
・株式譲渡
売手企業の株式を譲渡することによって支配権(経営権)を移転させる手法です。支配権を移転するためには1/2超の議決権を移転する必要があります。中小企業のM&Aでは最も多い手法となります。
・事業譲渡
事業譲渡とは、売手企業の事業の全部又は一部を売買することです。買手企業は売手企業の特定の事業だけ選ぶことができる手法ですが、譲渡する事業の権利・義務は個別に移転する必要があるため手続きは煩雑になります。
・合併
合併とは、複数の会社が法的に一つの会社となることです。M&Aの手法では、最も結合力が強く、統合効果を出しやすい手法ですが、第三者間の場合はいきなり合併するのではなく、提携や子会社化後に合併するケースが多いようです。
・分割
会社分割とは、企業が有する事業の一部を、新しく設立した企業もしくは既存の企業に承継させるM&Aの手法です。事業譲渡と同じ効果を持つ手法ですが、事業譲渡は資産、負債及び契約等を個別に移転させなければならないのに対して、会社分割は包括承継することができます。
中小企業とM&A
M&Aは大企業の特別な経営手法と理解されがちですが、日本のM&Aの7割は中小企業が占めているとも言われています。中小企業のM&A活用事例としては後継者不在企業の売却(事業承継)以外にも以下のようなものが挙げられます。
・新規分野進出のための異業種の買収
・優秀な人材を囲い込むための同業他社の買収
・合併によるシナジー効果
・コア事業への集中のためノンコア事業の売却
・親会社業績悪化等による子会社経営陣の独立(MBO)
M&Aによる売り手(譲渡企業)のメリット(例)
・後継者不在の解決 – 有力な事業承継戦略
・従業員の雇用継続
・既存顧客に対するサービスの継続
・経営基盤・営業力の強化
・投資資金の確保
・個人保証債務の解除
・株式譲渡による創業者利潤の確保
M&Aによる買い手(譲受企業)のメリット、買収目的(例)
・関連事業への進出によるサービスの向上
・新地域への進出、新事業拠点の確保
・新市場への進出・品揃えの拡充
・優秀な人材の確保 ・原材料など資材の安定調達先確保
・相乗効果を発揮して「成長戦略」が可能となる
・その他経営資源の拡充
・新たに同等の事業を立ち上げ・育成する場合のリスクと時間を回避できる